なぜ中国SNSでバズらない?日本企業が中国SNS運用する際に、よく失敗する三大原因と対策をまとめた(三)

この数年、筆者が日本企業・自治体アカウントの代理運営・コンテンツ創作を行ってきた。その経験から、日本の企業や組織が中国SNSを運用する際の失敗について感想をまとめてみた。内容をより詳しく述べられるよう、三回に分けて記事を配信する。

これまで、日本企業・組織が中国SNSを運用する際に、よくある失敗の二大原因について述べてきた。本日はこのシリーズの最終篇として、3つ目の原因について解説する。

前篇のリンクはこちら:

なぜ中国SNSでバズらない?日本企業が中国SNS運用する際に、よく失敗する三大原因と対策をまとめた(一)

なぜ中国SNSでバズらない?日本企業が中国SNS運用する際に、よく失敗する三大原因と対策をまとめた(二)

原因三:日本語SNSを運営する経験で中国SNSを運営する

中国SNSの運営を担当する部署は、同時に日本語SNSの運営もしているケースが多い。その場合、担当者が日本SNS運営の経験から「FacebookやInstagramがそうだから、中国のSNSもそうだ」と判断しがち。

細分化すると、下記3つの現象がよく見られる。タイトルを読むと「それは当然だめだ」と思っても、実際業務で何となくしてしまうケースが多い。

では、それぞれの現象を分析し、具体的な解決策についても述べていく。

①日本の感覚で中国読者の興味を判断し、「盲点」が生じる

中国SNSを運営する際に、ほとんどの運営者は「中国読者が何について興味を持っている?」を問い続けるのだろう。沢山のテーマを準備して、中国人社員に現地での人気度を判断してもらうこともよくある。

中国読者の興味を知る姿勢があるのに、なぜそれがイケてないのか?

日本の感覚では「既存の成功事例」から学ぶケースが多く、それはまさに中国SNSの運営でやっていけないことからだ。

中国のSNS世界では、マネタイズが成熟している。そのために、SNSで活躍している創作者の数も、コンテンツもとんでもない量である。その競争の厳しい環境で勝つには、「成功しているコンテンツ」を真似するのではなく、「誰も配信したことのないコンテンツ」を見つけないといけない。

例えをすれば、日本で「ゴミを分類する仕方」を検索したら、ほとんど自治体のホームページが出てくる。各地の出し方に違いがあるとはいえ、ペットボトルやダンボールを処理する方法は同じだ。なぜ個人ブログやキュレーションサイトでは取り上げられていないかな?

「日本で誰でもよく知っていること」だから。

それに、「どの自治体も詳しく書いていて情報が既に沢山ある」から。

そのように、「東京に行ったら雷門」「北海道のミルクが美味しい」「日本の昭和風の下町」「このマスクが売れている」など、簡単に思いつく日本の観光・文化テーマも、中国では「ゴミを分類する仕方」のような存在。何度も何度もいろんなメディアに取り上げている。

その環境で読者が求めてはじめるのは、「見たことのない景色」や「聞いていないこと」、あるいは「見つからないノウハウ」である。

一言でいうと「誰も作ったことのないコンテンツ」で勝負しないといけない。

そのために、中国の創作者たちが、奇想天外な発想を持ち、常に新しい視点を探している。

ただ、日本で配信テーマを判断する際に、「成功事例があるか」「バズることを証明できるか」が論点になる。そのプロセスを踏むと、いままで誰も思いついたことのないこと、新しいことが最初から除外され、「盲点」に入る。

中国のプロライターを雇っても、編集会議で「証拠を見せて」と言われて説明がつかないことを経験したら、彼らが妥協して無難なテーマ案を書き始める。

解決策:「検証して配信」ではなく「配信して検証する」という考え方に切り替える

中国で上手く行っているSNSアカウントの配信は、何でバズるの?と聞いたら、

「大量に配信する」+「配信のバズる率を上げる」2つのことの繰り返しがほとんどだ。

失敗する配信があってもよい。むしろ大量な失敗をする。いろいろ新しい試しをしながら配信を続けばバズるものが現れる。その時にしっかり成功したコツを分析する。という考え方。

事例として、ある中国のTiktokアカウントをみてみよう:

このアカウントの作者は、いろんなスタイル、いろんな歌手を模倣して歌うことが上手。二人が三人が並べていると見えるか、実は全部彼一人。同じ歌をPOPS、オペラ、特定な歌手風を一つの動画で演じることで大爆笑を得る。

配信し初めてわずか2ヶ月で3万人を獲得し、動画の再生数も数万が散々見られる。

でも彼の早期の動画を探っていくと、様々なやり方を試した様子が見られる。

分析し過ぎずとりあえず作ってみることが大事である。従来のビジネスの原則を反しているとみえるかもしれないが、インターネット業界と伝統業界のスピード感の差を想像したら良いかも。SNSメディア業界では、更にインターネット業界以上、迅速に試行錯誤が行われている。

現実問題として、予算や初期フォロワーの獲得などいろいろ課題があり、それも無視できない。ただ、この「あるべき姿」を理解した上で、いままでより良いバランスを取れるではないかと考えている。

②日本語で原稿を作成し中国語に翻訳する

確認プロセスを加速させるために、日本語の原稿を提供して翻訳してもらうケースも少なくない。仕事を行う際の便利さやメリットも沢山ある。

残念ながら、それは配信コンテンツにとって最もやってはいけないことである。

この3つの現象の中で、一番致命的である。

まず、中国語の構造自体は、日本語と大きく異なっている。

自然言語の中で「膠着語」(agglutinative language)と分類される日本語だが、中国語は「孤立語」(isolating language)。日本語は、一つの言葉に要素をつけていく。一つの文をとても長くしても理解できる。それに対して、中国語は1語が1形態素に対応するため、長くなると意味が混乱しやすい。

とにかく、この2つの言語には、主語や動詞の順番も、文の構造、物事の話し方も全く違う。日本語の構造を最大限に保留しようとすると、中国語としての構造が劣ってしまう。

次に、日本語を上手く中国語に訳す人材が不足している。

日本語の意味を中国語で表すことが、2つの言語が分かる人ならできるが、SNSでの配信レベルになると、高度なライティングスキルと、日本語を崩す勇気が必要。日本語をペラペラ話せる中国人も、そのトレーニングをしたことがあるとは限らない。

その結果、「日本語っぽい中国語」に訳され、意味が伝えるが、SNS投稿としての魅力が感じられない恐れがある。

最後に、日本語コンテンツの着眼点は中国と大きく異る。

「ええ!中国人はそんな所に興味があるのか?!」

そのような驚きは、いままでの仕事で沢山聞いてきた。

経歴や生活環境が日本人と違う中国読者は、着眼点も日本の読者と違う。

「どのように書けば読者が面白いと思うのか」「リード文はどう作るか」「話をどう展開するか」「文章の締め方」などのセンスも違う。

事例として、群馬県のオフィシャルアカウントのあるweiboを見てみよう:

7月1日の配信は「今年はもう半分立ってるぞ。皆さんのお正月の時の目標は半分でも実現できている?」

画像にある文字は「疲れた。もう頑張りたくない」

もし日本語でweiboを作ったら、このような投稿にするのを想像しにくいね。日本語には公開配信をする際に、ポジティブな口調が多く、「頑張ろう」などが一般的だ。

ただ、中国からの着眼点で作られたこそ、「あんたたちの目標、全然果たしていないじゃん」「疲れた」などの言葉が出てくる。中国の若者にとって、その話し方は「ネガティブ」な感じではなく、「友人みたいに親切」だから。

もう一つの投稿をみてみよう:

群馬県観光局が配信したマスコットのプロモーションに対して、フォロワーがこのようなコメントをしてる:「2013年に、九州のある黒い熊妖怪のやつめも伊勢丹でデビューしたね」

群馬県のアカウントはわざわざそのコメントをリツイートし、「おいらも九州のある黒い熊妖怪のやつめみたいに人気になりたいんだね「ドヤ顔」」

更にこのweiboのコメントを見ると、ぐんまちゃんがくまモンへの悪口に対して、フォロワーたちが大興奮・大満足の様子だった。

Weiboを見ると、いつも「ぐんまちゃん」うまいな…と思う。

聞いた話だと、このアカウントは上海の事務局が直接運営しているらしい。フォロワーが5万で数は多くないほうだが、普段のコメント・リツイート・いいね数を見ると、「本当のフォロワー」は50万台のアカウントも超えていたりする。コメントの内容をみると、フォロワーたちがぐんまちゃんへの愛着も非常に強い。

(それも、フォロワーの数字を全て信じてはいけない証明だね)

解決策:最初から中国語で作成するか、中国語に「書き換える」

ここの解決策は簡単!最初から中国語で作ったら、訳す際の問題がほぼなくなる。

その場合、日本語に一回翻訳してチェックすることが多いが、書き方ではなく、事実の間違い、情報の漏れだけを確認しましょう。変に意見を出すと、また「日本風中国語」になるから。

仕事に責任感が強く、言葉遣いまで細かく校正する人が多いが、その好意が逆に迷惑を招くことがほとんどだ。

また、日本語原稿を使いたい場合は、「翻訳」ではなく、「書き換える」ことができる人に頼むことがおすすめ。「書き換える」のは、原文の全ての情報を網羅する前提で、構造や書き方を完全に変え、ゼロから中国の文を作ること。

「書き換える」にはテクニックが必要だが、短期間でもそこそこできるコツを、今後このブログで更新する予定。

③中国SNS広告を日本SNSの感覚で購入する

最後に触れたい現象は、中国SNS広告をFacebookやYoutubeと同じ感覚で購入すること。

広告の種類や仕組みが一見似ているかもしれないが、中国のSNSサイトは自分なりの仕組みを沢山作ってきた。インフルエンサー広告のやり方、ターゲティングの粒度、インフィード広告の効果、CPA感覚など全部違う。

「Facebookのあれみたいだ」と思い込んでしまい、実際にやると全然違った…というような失敗が多いらしい。

別世界をゼロから探索する気持ちで、その仕組を解明していけば、予想と外れることも減るのでしょう。

解決策:最新の動向を勉強続けるしかない!

あら、手抜けの解決策だね…と思わないか?笑

実は、一番伝えたいことは:「中国のSNS広告システムは、常に変わっていること」だ。

半年、一年ごとの更新ではなく、随時大きく変わる可能性がある。

FacebookやYoutubeの経験どころか、中国での一年前の経験でも失敗することがある。

広告システムがしっかり設計されていないケースもよくある。Weiboの広告システムも急に改修されたりするし、スマートフォンしか購入できないものやパソコンでしか購入できないものもある。ルールが明示されない時も多い。

「ブラックボックス」

それは中国SNSを運営する際に、最も思い浮かべる言葉だ。

目的、仕組み、アルゴリズム、人員、ルールがはっきりしていない時が、想像以上にある。SNSサイトを作った者さえ確定できないこともあるから。日本でのビジネス環境では理解できない事象だってある。それも中国SNSの一つの特徴だから、理解した上で柔軟に運営していくしかない。

その不確定性を直面する勇気を持ち、運営し続ける組織や個人が少ないから、長期に渡って踏ん張る人が素晴らしい結果を出していく。

いろいろ偉そうに話してきたが、他の従業者へ不敬な気持ちは一切ありません(笑)

ただ、沢山のプロジェクトを見てきて痛感したことを一生懸命、皆さんに伝えたいと思っている。

正直の話、「このアカウントはこのままじゃ無望だ」と思われながら、運営されている日本系SNSアカウントが多い。

みんなが空気を読める大人だから、誰も課題を言わないまま「仲良く」やっていく。

数百万、数千万円規模の予算をせっかく取ったのに、情報の壁で運営方法が分からず、お金や人々の努力が水の泡になることを見て、心が痛むから。

せめて、記事という形で配信し、どこか有識な方が事前に課題認識ができ、そういうことを少しでも減らせば幸いです。

このシリーズを最後まで閲覧して頂きありがとうございました。

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