2019年1月、中国テンセント社が運営しているWechatチームが、2018年の利用統計レポート(微信数据报告2018 / 2018 Wechat Data Report)を発表しました。利用者数、利用者属性、Wechat Payの成長を含め、様々な情報が分かります。早速、Wechatの発表した最新データと利用経験を踏まえた解説をまとめてみました。
※全てのデータは2018年9月のデータであり、テンセント社が正式に発表した最新データ(2019年1月時点)です。
一、WechatのMAU(月間アクティブユーザー数):10.82億人

中国では、登録ユーザー数ではなく、アクティブユーザー数を指標にすることが多い。「本当に使われているアカウント」が重要だと思われているからです。
単純計算をすると、このユーザー数は中国人口の78%を占めしていますが、中国人民網2018 年2月のデータによって、スマホ人口は7.53億人となります。Wechatのアクティブユーザー数がスマホ人口を超える原因は、プライベートと仕事の使い分けによる複数アカウントの所有だと考えられます。筆者自身も、3つのWechatアカウントを持っていて、アクティブアカウントは2つです。
人口を占める本当の比例は計算しにくいが、2つアカウントを持っているのはあくまでも大都市にいる人のため、80%以上だとは確実に言えます。
二、55歳以上のWechatユーザーは6300万人

もちろん、これもアクティブユーザーの数です。2017年の数字は5000万人であり、昨対比は126%です。中国55歳以上の1.27億人口の半分を占めしています。
ちなみに、私の80歳を迎えたおばあちゃんも、毎日Wechatで友人と連絡をとったり、ミニプログラムでゲームをやったりしています(笑)。ごく簡単な機能しか使えませんが、家族に教えてもらいながらハマっています。
「ミニプログラム」については、上記記事をご参考ください
三、毎日送られたWechatメッセージは450億通;Wechat通話は4.1億回実行される
平均で見ると、一人のユーザーが毎日45通メッセージを送ります。また、平均2.5人に一回Wechat通話を行っています。通話の回数は三年前より570%も増長したが、この数字を見るとまだ伸びしろがありますね。
ユーザーとしての感想をいうと、Wechatのグループ通話機能は打ち合わせの時とても便利です。ワンタップで、いつも会話をしているグループのメンバーに通話をリクエストするのが可能。また、メンバーがリクエストを見落としても、後でグループから入ることができます。

四、Wechatオフライン決済が増長し続ける
いつも注目される小売での決済人数は昨年より1.5倍、食事の決済人数は1.7倍増長しました。今回は決済金額が発表されませんでした。
一番増長が著しいのは、公共交通機関です。バスと地下鉄の決済人数は合計4.7倍上がりました。特に大都市では、改札を通れる「乗車QRコード」が普及されました。使い方は日本の空港で多く利用される2次元チェックインバーコードと似ています。

五、メッセージのマルチメディア化
Wechatでは、文字メッセージ以外に、音声、画像、動画、DIYスタンプ、リンクなど多様な情報を送れます。特に音声メッセージは、昔から文字入力が苦手の高齢者たちが多く使っています。音声を聞けない時、文字化機能も提供されていますので、スムーズにコミュニケーションを取れます。

また、インターネット接続速度の向上によって、画像とスタンプを利用して多彩なチャットができるようになりました。画像とスタンプは既に若者にとって不可欠なものです。流行りのスタンプをダウンロードしたり、友人の写真でスタンプを作成したりするためのアプリも沢山存在します。
良く見るチャットの例:

動画メッセージの激しい増長ですが、実はTiktok (抖音/ドウイン) の成功と大きく関係すると考えています。
Tiktokでは、大量な面白動画が作られています。ユーザーが好きな動画を友人にシェアしがちですが、実はWechatにTiktokリンクをシェアすることはできません(競争によってWechatがブロックしている)。そこでTiktokの対策は、ユーザーが動画をダウンロードして、Wechatで直接送ることです。ダウンロードされた動画にTiktokマークと創作者のIDが埋め込まれています。Wechatの激増した動画メッセージは、大半Tiktok動画かもしれません。
六、年齢層ごとに愛用の絵文字
遊び心を持っているテンセントさんですが、ユーザーの年齢層によって愛用する絵文字も発表しました。

55歳以上ユーザーが愛用する絵文字は、日本の社会人がFacebookメッセンジャーでよく使っているあるスタンプと似ていますね(笑)

70年代と80年代生まれは陽気な絵文字が好きです。素朴な笑顔が一番使われています。一説では、社会人の中堅層である70-80年代生まれは嫌でも大人の対応としないといけないから、これらを絵文字を使っています。

90年代と00年代生まれが良く使っているこの2つの絵文字は、中国のネット文化で「嫌なこと、変なことに遭う時の複雑な気持ち」を表します。日本語だと「まじか」「なんてことだ」「汗」みたいな表現です。さすが若者たち、素直ですね。(笑)
これでWechatが発表した2018統計データと解説は以上になります。いま日本の携帯番号も登録できるようになり、興味がある方は自分でも触ってみてください。Wechatのインストールとユーザー登録は下記のページをご参考に。