Wechat(微信)のミニプログラム(Mini App / 小程序)とは?解説と成功実例5選(後編)

前回の記事では、Wechatアプリ内で作れる「アプリ」ーーミニプログラムの仕組みとメリットを説明しました。後編では、ミニプログラムの現状と成功事例、これからの展開について話したいと思います。

前編はまだ閲覧されていない方は下記のリンクをクリックしてください:

Wechat(微信)のミニプログラム(Mini App / 小程序)とは?解説と成功実例5選(前編)

ミニプログラムの現状は?

ミニプログラム(小程序)機能が最初にリリースされるのは2017年1月でした。もうすぐ二年になります。いまの中国では、ミニプログラムが実際どれぐらい使われていますか?数字から現状を見てみましょう。

・2017年1月から2018年1月までの一年間、58万のミニプログラムが作られました。2018年11月に、合計100万個になりました。(テンセントの公表により)

・ミニプログラムのDAU (1日のアクティブユーザー) は、2018年3月に4億人達成。Wechatユーザーの43%に浸透しました。(QuestMobile TRUTHデータベースにより)

・最も人気なジャンルは、ゲーム、EC、コンテンツ閲覧3つになります。(アラディンミニプログラムデータ研究院により)

・新ユーザーの獲得は、既存アプリからWechatへのシェア以外に、主に他のミニプログラムからの遷移とチャットでのシェアとなります。

二位と三位は分かりますが、一位の「既存アプリからWechatへのシェア」は何でしょう?下記の事例で説明します。

【ミニプログラムの成功事例② Weiboミニプログラム】

WeiboやZhihuのようなコンテンツSNSで面白い内容を見つけたら、友人に共有したいですね。FacebookでYoutube動画をシェアするのと同じです。中国人は、そんな時に Wechatのチャットにシェアします。

昔だと、他アプリの内容をWechatにシェアしたら、リンクの形に表示されます。リンクをタップしたら、アプリ内のブラウザーで内容を閲覧できます。ただ、ログインが必要な内容を見れない場合もよくありました。

現在、WeiboからWechatのシェアはすべてミニプログラムの形に表示されるようになりました。タップしたらミニプログラムが起動されます。

上記の画像が示したように、ミニプログラムはURLより実現できる機能が多い。ワンタップでアプリへ遷移することも可能。更に、ミニプログラム内にログインすれば、永久的にアカウントが記憶され、自分がフォローしている人のツイートを閲覧したり、Weiboのランキングを確認したりすることもできます。

実は、ほとんどの中国SNSが同じようにミニプログラムを作っています。Toutiao(今日头条)、Zhihu(知乎)からのシェアも良くグループチャットで見られます。それらのプラットフォームには膨大なコンテンツがあるから、「既存アプリからWechatへのシェア」が新ユーザー獲得の1位になったと思います。

ミニプログラムを作ったら、売上に貢献できるか?という質問もでるかもしれません。まだ様々な企業が模索中ですが、ECのミニプログラムは先に成功事例を出しました。次に、ECミニプログラムの事例をみてみましょう。

【ミニプログラムの成功事例③ KOLからECへ進出した「リベカOffcial」】

ここで挙げたい事例は、既存のECプラットフォームではなく、個人KOLがミニプログラムを利用してECで成功した事例です。そのECはゼロからスタートし、販売開始7分間で1600万円の売上を獲得しました。

それを実現したのは、ファッション専門のWechat公衆号「リベカファンタジー」です。中国語名「黎贝卡的异想世界」となります。

このアカウントのフォロワー数は、推定100万ぐらいとなります。昔の収入は主に広告でした。ファッションアカウントなので、服装ブランドや化粧品のプロモーションをして、クライアントから広告費をもらうビジネスモデルです。

リベカのアカウントがミニプログラム「リベカOfficial (黎贝卡Official) 」をリリースしたのは、2017年の12月ごろでした。商品はほとんどオリジナルです。服装、アクセサリーのメーカーと組んでやっていると考えられます。

このオリジナルブランドが成功する理由は、Wechat公衆号とWechatミニプログラムの最高の相性を活用できたと思います。

まず、名前さえ揃えば、公衆号を検索する際に、ミニプログラムも同時に並んでいます。新規ユーザーに対して、Wechat公衆号のプロモーションと一体化できます。

次に、Wechat公衆号のトップに二箇所(一番上にある「メニュー」と一番下の「関連ミニプログラム」)にミニプログラムの入り口を設置できます。既存ユーザーがすぐECをにアクセスできます。

最後に、Wechat公衆号の鍵となる「コンテンツ」からもアクセスできます。配信された記事でミニプログラム専用のQRコードを入れれば、その画像を長押しすることでミニプログラムが起動します。

このように、「リベカ」というブランドは、公衆号のコンテンツ配信→フォロワー獲得→ミニプログラムでのEC販売というエコシステムを作り、広告以外の新事業スタートに成功しました。

「リベカ」のように、ミニプログラムでいままでのないビジネスモデルを作るチャンスがやってきました。次の事例で紹介する「ミニ名刺」も新しいフィールドを開拓しようとするミニプログラムです。

【ミニプログラムの成功事例④ 名刺交換の新しいカタチ「ミニ名刺」】

中国人同士のビジネスシーンをみたことがありますでしょうか?

日本人には、名刺交換が一般的だが、中国人の場合Wechatの友達になるのは多いです。実は中国で仕事の連絡もメールが少なく、どうしてもWechatになります。「メールにしろ!」の企業もありますが、結局メールの返事を待てずWechatで話してしまうケースが多いです。

しかし、流石にプライベートタイムも仕事の話がかけられたら嫌な人もいます。そのために、仕事用スマホをもう一個購入して利用する人も多くいます。Wechatは便利のものの、使い分けたいというニーズは確実にありますね。

そこで、ミニプログラムを使ってWechatに名刺を保存する「ミニ名刺」サービスが誕生しました。

このミニプログラムを使って「自分の名刺」を作成することができ、その名刺をQRコードで他人に渡すことが可能です。必要な名刺情報以外、各ユーザーが自分の参照用に、他人の名刺にメモをつけることもできます。

それで、Wechatの友人にならずにその人の情報をクラウド上に保存することが可能。ミニプログラム内のチャットで即時に連絡が取れます。もちろん、自分のwechatアカウントを公開している相手なら、いつでもWechat友達の申請ができます。

他の便利機能をあげますと、

①自分の名刺をグループチャットにシェアすることによって、一回で複数の人に保存してもらえます。名刺アプリをダウンロードする手間が不要です。

②自分が保存したクライアントの名刺を一括に同僚に引き継いでもらうことができます。

いかこれはWechatの仕組みを理解した人こそ作れるサービスですね。「ミニ名刺」の利用者数は現在1200万に達しました。

ミニプログラムと共、新しいビジネスチャンスも生み出されたので、それを探している人々が続々と増えていますね。

ミニプログラムのこれからは?

筆者の推測として、Wechatはこれからもミニプログラムに注力し続け、最終的にフリーデベロッパーが恵まれるエコシステムを完成するではないかと考えています。

2018年12月の公式発表によると、ミニプログラム機能に大きなアップデートが予定されています。人気なミニプログラムがいままでより多く広告収入を稼げるようになる。また、デベロッパーはバックエンドで自分のミニプログラムの改善点などを確認することもできます。

広告の仕組みを説明するために、最後の事例ーー人気ゲーム「Jump (跳一跳) 」を紹介します。

【ミニプログラムの成功事例⑤ 人気高騰のゲーム「Jump (跳一跳) 」】



イメージがつくためにプレイ動画をみましょう。動画を見れない方は、下のGIFを御覧ください。

ご覧の通り、プレイヤーが操作する人形は、タップする時間が長くなるほど跳ぶ距離も遠くなります。人形が自分の前に続々と現れたブロックを、次から次へに跳んでいきます。ブロックが現れる場所はランダムのため、ユーザーがそれに合わせてタップ時間を調整し、落ちないようにします。

考えることが一切いらなく、非常に単純明快なゲームだ。暇つぶしにやっている人が多く、記録も千回レベルに行きます。「Jump」はリリースされてからすぐ人気になり、いまもゲームカテゴリーの1位のまま。ゲーム系ミニプログラムの代表作と言えますね。

非常の中毒しやすいミニプログラムのゲーム。しかし、マネタイズの課題も懸念されている。

ゲーム内チャージを試したゲームもありますが、ミニプログラムの開発コストが低いため、有料にすればあっという間に競合がパックリして無料版を出します。

Jumpのブロックを広告欄にするような、ゲーム内のオブジェで広告費用を稼ぐ方法もあるが、アイコンだけを出すマーケティングは、大手ブランドしかしませんので、マーケットが小さいです。

マネタイズの課題を解決するため、Wechatが2018年5月にミニプログラムにアフィリエイト機能を入れました。デベロッパーがミニプログラムに「広告を15秒みる」ボタン(下の画像にある緑のボタン)を設置することが可能。ユーザーが見た分、ミニプログラムの所有者が報酬を得られます。

15秒の広告は、ペースの速いミニプログラムゲームにとって長いかもしれません。広告表示とユーザー体験のバランスを取るために、この仕組はまだまだ改善されています。

これで、5つの事例を通じてWechatミニプログラムを紹介しました。

実は、アリババやBaiduなど他の大手も動き始め、テンセントを対抗するためにまったく同じような仕組みをアリペイなどのアプリにつけました。それらアプリの属性はWechatと違うため、ミニプログラムの方向も異なるが、スーパーアプリたちがこのミニプログラムの戦場で戦う可能性が十分あります。

Wechatの運営会社テンセントは、Wechat公衆号のエコシステムを作り出した。そのシステムによって、ライターたちがフリーとして生活可能な収入を得られるようになりました。ミニプログラムのアップデート情報をみたら、これから同じような方向に行くと感じます。EC以外のミニプログラムはいかにマネタイズするのか、その肝心な仕組みが注目されています。

Wechat公衆号はすでに成熟期になり、これから参入するのはハードルが高いですが、ミニプログラムの世界ではまだまだ伸びしろがあります。いまならまだ良いタイミングかもしれません。

ただし、アップルさんやグーグルさんの動きは懸念ですね。OSの上に更にOSを作ることが許されるのか、その中にあるお金の流れはどうなるのか、テンセントにまだ課題も残っています。

何しろ、一創作者として、その仕組を作り出したテンセントさんに「ありがとう」を言いたいです。これからもミニプログラムの大活躍を期待しましょう。

ミニプログラムのご紹介は以上となります。何かご質問があればコメントをいただけると嬉しいです。

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