微信小程序(WeChatミニプログラム、またはMini App)のことは、最近良く聞きますね。リリースされて約二年、中国ではすでに当たり前のことになっています。今回の記事では、このミニプログラムを分かりやすく解説したいと思います。
「ミニプログラム」とは?
簡単に言うと、
・Wechatアプリ内で作動する「アプリ」です。
・Wechatが提供したAPIと使えば、誰でもミニプログラムを開発・リリースできます。
・テキスト、画像、動画の表示から決済まで多くの機能が実装可能。
・Wechatアプリの一部になっているため、他のアプリなどをダウンロードせずに使えます。
アプリ内のアプリは何でしょう?と思う方もいますが、下のミニプログラムの起動画面を見ればすぐ分かります。
ミニプログラムを起動できるリンクをタップすれば、Wechat通常のチャット画面に新しい画面が重なります。それがミニプログラムの画面です。

ミニプログラムを閉じたい時は、右上の◎ボタンを押せば元の画面に戻れます。
起動するリンクは、どうやって獲得するのでしょう?
実は、ミニプログラムの拡散に「シェア」が大事です。シェアボタンは右上の「・・・」にあります。

このように、ミニプログラムをグループチャットや一対一のチャットにシェアすれば、リンクが表示されます(上記動画でのチャット画面にあった大きなリンクです)。他のユーザーがそれをタップすればミニプログラムにすぐ入れます。
また、チャット一覧の画面で下にスライドすれば、自分が一回アクセスすることがあったミニプログラムを見れて、そこから入ることもできます。

このように、ミニプログラムにとって、WechatのアプリがiOS、AndroidのようなOSになっています。これはかなり斬新な発想です。
ミニプログラムの何が良いの?
①「軽さ」:スマホのOSを気にせず、迅速サービスを作れる
この仕組の一番賢いところは、WechatのアプリがOSになっていることです。いわゆる、Wechatのアプリさえあれば、どんなスマホでもミニプログラムが使えます。一個ミニプログラムを作れば、iOS&Androidの全機種対応が完了します。

ベンチャー企業にとって、ミニプログラムでスタートすれば、iOSとAndroidエンジニア両方を最初から確保する必要がなくなります。金銭と時間コストが大幅に削減されありがたいことですね。
実際、いま中国のスタートアップは、初期検証にミニプログラムを使うことが多いです。ミニプログラム機能のリリースされた後も、プログラム数が急速に増えています。
②「速さ」:Wechatの膨大なユーザー数を利用して拡散できる
スマホアプリにとって一番難しいことは、初期のユーザー獲得でしょう。広告を打っても、ユーザーにダウンロードしてもらうハードルが非常に高い。日本では数千円で1ユーザーを獲得することもあります。
それに対して、Wechat内のミニプログラムなら、プロモーションのハードルが一気に下がります。
まず、ユーザーがわざわざアプリをダウンロードする必要がなく、タップするだけでミニプログラムを使えますので、抵抗はほぼありません。
次に、ログインする際にWechatアカウントがそのまま使われるため、煩雑なユーザー登録が不要です。
最後に、既存ユーザーが気軽にミニプログラムをWechatグループ、チャットなどにシェアすることができ、他の人もワンタップでアクセス可能。上手く仕組みを設計すれば、想像できないスピードでのユーザー増長も実現できます。
【ミニプログラムの成功事例① クイズゲーム「頭脳王者」】
ここでは、リリース二週間で、アクティブユーザー数が千万級になった「頭脳王者」の例を挙げて、ミニプログラムの恐ろしい拡散効果を説明します。
「頭脳王者」は一対一のクイズゲームです。一回の対戦で五問が出され、回答スピードと正誤で二人の点数が計算されます。

1-2分ほど対戦が完了します。下記の画像では、赤が1184点で勝ち、青が200点で負けです。

ゲームの仕組みは簡単ですが、「Wechatのチャットにシェアすれば、すぐに対戦できる」ことが大事です。ミニプログラム内に対戦部屋を作って、その部屋のリンクを特定のチャットに送れば、相手がタップするだけで対戦開始。相手がいなくても、グループチャットに送れば、そのグループの誰でもタップして対戦することができます。
緊張感が溢れて非常にハマりやすいゲームなので、ユーザーがいろんな所で対戦相手を求めるのでしょう。グループチャットからグループチャットへ、拡散も始まります。

更に、「ランキング」機能では、このゲームを遊んだWechat友達とランクを比べられます。「友達ランキングで一位になりたい」競争心を燃やして日々クイズを励んでいたユーザーが少なくありません。

残念なことで、「頭脳王者」ブームは政治事情によって強制的に止められましたが、その後のゲーム系ミニプログラムは、ほとんど「対戦」「友人ランキング」「シェア強化」の仕組みを模倣しています。
以上の解説で、Wechatミニプログラム(小程序)のイメージが湧いてきましたか?次の記事では、そのミニプログラムの現状、成功事例、これからの展開方向について解説したいと思います。
後編はこちら:
上記のリンクからアクセスしてください。
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