2018年11月11日の朝零時直前。沢山の中国人はパソコンやスマホの前に「その時」の訪ねを待っていた。複数の端末を家族全員で持ち、購入ボタンを押すのを逃さないよう、じっと見つめていた。
00:00になったら、接戦がすぐに始まった。35秒でユニクロ中国の売上が億元(約16億円)を超え、当日の12:00までには、アップルやナイキは10億元(約160億円)の売上を達成。24:00 になり、アリババが世界に向けて新記録を発表した:2018年「独身の日」取引額が再度に過去最高記録を更新し、2135億人民元(およそ3兆5000億円)に達した。

このような光景は、2009年から毎年続いていた。驚くことに、毎年記録が更新される。中国人の消費レベルはそれだけ増長していたのか?それともアリババのプロモーションがうまく浸透し続かているのか?3兆円の取引額は本当の数字なのか?様々な報道を読むと、そのような疑問が出てくるかもしれないね。
数字は、嘘ではないと思う。ただ、その数字を毎年更新するため、アリババのも苦労していろいろ仕掛けを考えた。その真実を知ったら、この「独身の日」セールに対する理解も変わるかもしれない。
「独身の日」セールの真実①:本当は23日間の売上だった?「事前予約」制
「独身の日」セールのルールは、毎年変わっているが、「事前予約」は三年間続いていた。始まる時期もどんどん早まっている。
10月に入ってから、多くの店舗が目玉商品の値段を上げて、その同時に「11月11日はいつもより安い」と宣言する。そしてユーザーが予約金を支払って、「11月11日に購入する権利」を得られる。
例えば、いつも気になっていた500元の商品が急に800元になった。予約すれば11月11日に400元で購入できるが、予約するには50元を支払う。当日キャンペーンも行われ、友人を誘ったら50元の予約金が100元として使えるなどお得のチャンスもある。それでほとんどのユーザーが予約するだろう。
2018年には、事前予約が10月20日から始まった。11月11日までの23日間は、「独身セールの準備期間」だった。準備期間での売上は発表されていないが、前述べた原因でかなり少ないと考えられる。更に、10月頭から事前予約までや、11月12日から12月までも、価格の確認を待ったり、お金が枯渇したり、実際は三ヶ月も買い物を控えているではないかと言われている。
僅か一日で楽天の年間取引額を超えるのはびっくりする話だが、三ヶ月の取引額だったら、人口を考えて理解できる数字だね。
「独身の日」セールの真実②:当日の「返金不可」
セールの雰囲気に巻き込まれ、つい衝動買いになり、後悔するユーザーも少なくない。しかし、「独身の日」セールは、「当日返金不可」というルールがあった。翌日から7日間は全額返金可能だが、返金する行為はあんまりにも多く、2018年11月12日の朝、返金リクエストによってTaobaoのサーバーがクラッシュした。

実際に中国のSNSも、「返品はあんまりしない人だけど今回は1/3の買い物も取り消した」「昨日はみんなで爆買いし、今日はみんなで急いで返金、何のためだろう」などの声が相次ぐ。

11月11日売上を対象にすると、各店舗の返金・返品率も異常に高い。

返金を除きたら、取引額はどのぐらいあるのだろう?アリババにとってそれはかなりセンシティブな質問かもしれない。
「独身の日」セールの真実③:一年間溜まっていた買い物をこの日に済ませる
中国のSNSで、「独身のセール」に関して面白いコメントがあった:「一年一回だけ買う、買ったら一年間使う」。

確かに、「猫フード55個買った」「一年分のトイレットペーパーを買った」などの声も少なくない。それも計算に入れたら、毎年「独身の日」セールが定例となったため、年間の一部売上をこの日に集中させたこともあるかもしれない。
筆者は、アリババという企業を昔からかなり尊重している。「独身の日」セールを実現するためのシステム構築、データの瞬時処理能力、プロモーション規模、物流調達は全部素晴らしいと思う。ただ、「独身の日」セールは、自分自身のKPIを年々超えるために、やり方は徐々におかしくなっているではないかと感じた。
中国の経済とマーケットに本当に良いことなのか?無駄に交通や物流にストレスをかけていないのか?などの疑問が湧いてくる。アリババは間違いなくマーケットを左右できる力を持っている。その力は中国の経済を正しい道に導くように、心から祈りましょう。